About ZAP-X

がんの転移、脳腫瘍の治療ーZAPーXについて

「開頭せずになおす」定位放射線治療装置 ZAP-Xとは?

シンフォニー病院 ZAP-X
シンフォニー病院 ZAP-X

脳、頭頚部の病変に用いる新しい「定位放射線」装置です。

「放射線外科」とは大量の放射線を照射することで、標的病変の放射線にたいする感受性にかかわりなく治療するものです。このために細胞分裂の多い悪性腫瘍だけでなく、良性腫瘍や血管の病変にも効果を発揮します。

しかし周辺の組織への影響を避けるために、正確に位置と範囲を制御する必要があり、そのために「定位的」放射線照射が必要となります。

腫瘍、血管奇形などの深部の脳の病変、を開頭しないで「切らずに」治療でき、ことに、乳がんや肺がん、消化管のがんの脳転移は、がんの生存期間が長くなったために治療の必要も増え、複数の転移がある場合はとくに脳を壊さないですむピンポイント照射は大きな意義があります。

転移性脳腫瘍について

脳にがんが転移する頻度

最近はがんの治療が進歩して、「がんをもって生きる時代」となったので、脳に転移してできる腫瘍、転移性脳腫瘍は頻度の高い病態です。癌をもつひとの25%に脳転移が起こるといわれ、人口10万人当たり1年に75人の発生、全国では年間9万2千人程度が発症しています。

脳に転移するがんの種類

転移性脳腫瘍の原因となるがんとしては、肺がん、乳がん、大腸がん、腎がんなどが、多いのですがそのほかのがんでも珍しくありません。

肺がんでは発症の早期から転移することが多く、乳がんでは発症から時間がたって全身転移の一環として多く見られます。

転移はがん細胞が血流にのって脳の皮質とその下の白質との境目に定着しておこることがほとんどです。

脳に転移したときの症状

一般的に脳圧が更新することで頭痛、吐き気、意識の混濁などが起こります。けいれんも起こりえます。また脳のどの部分にできるかによって、運動麻痺、失語症、感覚の障害、空間認識の障害、視野障害など様々な症状が起こりえます。

脳に転移したことが分かった患者さんへ

脳転移をきたしたからと言って、これからの人生をあきらめることはありません。

転移による腫瘍が複数あっても、ZAP-Xによる治療は短時間に照射を行えます。

 再発を繰り返したときにも、ZAP-Xは反復して治療することができます。頭を開ける手術の必要はありません。ガンマナイフのように頭にピンをさしてフレームを固定する必要はありません。また30㎜以上の腫瘍も安全に精度高く治療できます。

日帰りの治療が済ませることもできますが、快適性、安全性を考えて一泊入院をお勧めするときもあります。また反復照射が可能なので数日に分けて照射することもあります。

ほとんどの場合、腫瘍は消失します

脳に転移したからと言って決して、落胆して諦めることはありません。

ZAP-Xがもつ優位点

は頭頚部の周りを2つの輪が動き、内側の輪に取り付けれたリニアックが動きながら高エネルギー・エックス線をピンポイントに照射して、脳の中の病変を正確に照射します。

ちょうど地球ゴマのようなイメージです。動きの機構は2軸のみですので、多軸のロボティックスにリニアックがついたサイバーナイフとは異なり、高い精度が保たれます。

1020か所から、線量を調節しながら照射します。

 照射中の頭のズレをたえず正確に補正する機構を寝台(カウチ)に備えていて、治療前に撮影したCTの情報に照らし合わせて検出、補正します。精度の高さは、すでに我々の経験でも実証されています。

 また照射中に実際に頭部を透過した線量を同時測定し、計画とのズレをチェックできるのも従来にない安全機構です。

治療の実際

治療に先立って、外来でCT, MRIをとります。そして顔と頭を覆う柔軟な網でできたマスクを作ります。

ZAP-Xの治療のときには機械の中の寝台に横になり、顔面と頭を、マスクで軽く固定して照射します。ガンマナイフのように頭蓋骨に鋭いピンを刺して、フレームを固定する必要はありません。

 ガンマナイフでは治療当日にフレームを付けて、MRIやCT、血管撮影などの検査をして、そののちコンピュータの上で照射の計画を作ります。これらのあいだ中、頭はピンとフレームで固定されたままです。ガンマナイフでは治療の際には装置にフレームで頭を完全に動かないように固定します。照射時間は、線源であるコバルトが減衰するのにつれて長くなり、頭が固定される時間と苦痛も増します。

 ZAP-Xの治療計画用のMRI検査は頭を固定することなく通常のMRIとして行われます。CTをとるときには網のマスクを作製し、それをつけて撮影します。照射計画は、外来検査が終わった後に事前に作成されます。治療中には、マスクで柔かく固定された頭の位置は、精密にモニターされ、ズレがあれば寝台が精密に動いて補正します。 

 日を替えて、マスクを装着しなおして照射を繰り返すことも、この機構を利用して精度高くできるので、照射を分割して行うことが可能となり、従来、ガンマナイフではむずかしかった大きな腫瘍や、グリオーマなどの脳腫瘍を安全に治療できるようになっています。

 

ZAP―Xが従来からあるガンマナイフ(第1世代)、サイバーナイフ(第2世代)の定位放射線機器と比して備える革新的な特長としては、以下の点があげられます

1)非侵襲的なソフトマスクで頭と顔面を覆って固定すること。

ガンマナイフのように頭蓋へのピン刺入、フレーム固定などを要さずに、精度を維持しています。

2)治療中の位置補正装置があること。治療中の画像誘導(Image Guided System)により、からだの位置のズレをリアルタイムで計測、補正します。これによりソフトマスク固定にもかかわらず誤差1㎜以下のターゲット精度を実現しています。

3)分割照射ができること

ズレ補正によって、一回照射だけでなく、数回、数十回にわたって反復して同じ場所に照射治療(分割照射)ができます。これにより大きな腫瘍などを治療することが可能になりました。従来のフレーム・ピン刺入固定のガンマナイフにない大きなメリットです。 

4)リアルタイム透過線量モニター

からだを透過するビームをリアルタイムに、装置内の線量計がモニターし計画との差が発生すると直ちに停止、安全性を確保しています。

4)単純な機械的構成

動作の機構はアキシャル軸(主軸)とオブリーク(傾斜)軸、2軸の回転のみ(第2世代のサイバーナイフは6軸)、単純で精度が保たれやすい構造です。

5)X線線源としてリニアック(直線加速器)を利用しているため、コバルト線源の減衰がなく、治療時間が延長することがありません。

ZAP SURGICAL SYSTEMS, INC.について

  • 本社は米国カリフォルニア州シリコンバレー
  • 2014年に Dr John Adler により設立
    • Stanford大学脳神経外科教授
    • CyberKnife®の発明者、製造元Accurayの創立者、元CEO
    • Varian社の元CMO